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アスリートたちが訴えてくるもの~2021年の日本陸上競技選手権大会(第105回)を観戦して。

2021年の日本陸上競技選手権大会(第105回)を4日間すべて観戦しました。 今、アスリートたちを取り巻く環境は複雑です。 これまでなら両手(もろて)を挙げて賞賛されてきた彼らの努力や活躍が、時に非難の対象にされるような、ねじれた時代の中に彼らは置かれています。 有観客か、無観客か。 今大会がどように開催されるのかは直前まで発表されませんでした。 結局、各日の観客を上限5000人としてチケット販売がはじまったのは、開催のわずか一週間前でした。 「5万人」収容のスタジアムに「5千人」。 つまり9割の客席が空くということ。 観戦に使用されたのは会場のメインスタンドのみ。 販売されたチケットはすべて指定席制で、感染予防のために席を1つ飛ばしで座りました。 もちろん会場は「ガラガラ」に。 しかし、それで雰囲気がさびしかったり、盛り上がりに欠けたかというと、まったくそんな感じはありませんでした。 なぜなら、その場にいる誰もが、選手一人ひとりの姿に感じたからです。 己の限界に挑戦し、さらに可能性を開こうとする人間の「強さ」と「美しさ」を。 この4日間、スタジアムの観客席に向かう通路を通る時、私たちの胸は期待に満ちていました。 そして、試合が終わり会場を背にまたこの通路を通る時、私たちの胸は人間への畏敬の念に満ちていました。 アスリートたちが私たちに訴えてくるもの。その価値は、どんな時代であれ一切損なわれることはないのだと、強く思いました。 当店ホームページ↓ 陸上競技シューズのインソールをくわしく↓

日本陸上競技選手権大会(第105回)の3日目と4日目も観戦しました(その2)。

日本陸上競技選手権大会、3日目と4日目も観戦しました。 女子100mH決勝 女子100mH決勝。 優勝はママさんハードラーの寺田明日香選手。 日本選手権での優勝は11年ぶり。すっご。 「寺田選手は一児の母にして腹筋がバキバキです。出産したのにすごいですね!」 と川見店主に話すと 「子ども1人までやったら腹筋はもどせる。でも、3人産んだら、もどらん」 と経験談を語った。 田中希美選手のこと 今大会の田中希美選手。 女子1500mは大会2日目に優勝。 女子800mは大会3日目に予選を1位で突破し、4日目の決勝では3位入賞。 「この子どんだけ走るねん」 って思ってたら、女子800m決勝レースの30分後、なんと女子5000m決勝のスタートラインに当たり前みたいに並んでいる姿を見てぶっとんだ。 結果は廣中選手、新谷選手につづき第3位。 もう彼女から目が離せなくなってます。 ワクワク。 男子110mH決勝 男子110mH決勝は、大学生の泉谷駿介選手が日本新記録の快挙。 ハードルを超えるたびに加速し、一瞬の乱れもないまま流れるようにフィニッシュ。 今大会で生まれた奇跡のひとつ。 男子200m決勝 男子200mの決勝優勝は小池祐貴選手、2位はデーデーブルーノ選手。 男子の100mと200mの両方を走り決勝に残ったのはこの二人だけ。 実に頼もしいですね。 あと、デーデーくんの名前は覚えやすいし言いたくなる。 観戦を終えて 今大会、4日間すべてを観戦しました。 勝負に賭け挑んでいくアスリートたちの真剣な姿は胸を打ちます。 私たちも人生に挑む姿勢は彼らに負けちゃいられません。 当店ホームページ↓ 陸上競技シューズのインソールをくわしく↓

日本陸上競技選手権大会(第105回)2日目を観戦しました。

日本陸上競技選手権大会2日目を観戦しました。 女子1500m決勝 女子1500m決勝。 田中希美選手は、ひとり猛然とトラックをとばした。 彼女しか発散し得ない圧倒的な何かを撒き散らしながら、未知の世界へ挑んでいく。 その姿にはいつもワクワクさせられる。 男子5000m決勝 午後7時。 男子5000m決勝のレースがはじまる時、滝のような雨がスタジアムを襲った。 雨はレース中もザンザンとふり続け、容赦なく選手たちを打った。 死力を尽くした選手たちは、フィニッシュすると水浸しのトラックにかまわず倒れ込み、打ちつける雨を五体に浴びながら天を仰いだ。 レースが終わると、雨はウソみたいに止んだ。 競技場の空気は澄み、世界は鮮やかな色彩に光った。 男子100m決勝 男子100m決勝。 レース前に各選手たちの表情が大型ビジョンに映し出された。 会場の誰もが思ったに違いない。 「いつもの彼とは少しちがうな。彼が一番に集中しているな」 その彼が優勝した。 レース後の勝利者インタビューでは涙をみせ、でも、さりげなく髪型を整えながらこたえるのが、多田選手らしかったと思います。 川見店主の感想 「日本選手権という特別なレースで9秒台選手が勝てなかったのが、残念だし不満」 と川見店主は、少々辛口の感想でした。 当店ホームページ↓ 陸上競技シューズのインソールをくわしく↓

【中距離走】祝優勝!祝大会新記録!近畿ユース男子2年800mを1分51秒で爆走したりゅうきくんが快挙です!

祝優勝!祝大会新記録! みなさん、こんにちは。 うれしいご報告です! 先日(9/14-9/16)開催された 第51回近畿ユース陸上競技対校選手権大会 (於・奈良鴻ノ池陸上競技場)にて、高校2年生の中距離ランナー・りゅうきくんが、 男子2年800m で、 ぶっちぎりの 優勝 を果たしてくれました! いよっ! しかも、記録 1分51秒83 は 大会新記録 でした! すっご!いよっつ! ぶっちぎりの独走で優勝!りゅうきくんが爆走する2018近畿ユース男子2年800m決勝のレースは動画で見れます↓ りゅきくんは、1か月前には 全国インターハイ (8/2-8/6)に初出場し、 男子800m で 決勝進出 の大健闘!彼が2日間にわたり全国大会の舞台で激走した「 2400mと388秒 」の物語は、このブログでも紹介したところです(連載2回)。 彼が駆け抜けた「2400mと388秒」の夏↓ ◆ 1年前の雪辱を果たす 1年前(2017)のこの時期、りゅうきくんは、ユースの大会で悔しい思いをしています。 まず、8月の 京都ユース は<男子1年800m>で 優勝 、記録の 1分56秒10 は 大会新記録 。 しかし、つづく9月の 近畿ユース の<男子1年800m>は、 1分56秒30 の 第4位 で涙をのんだのです(つっても、ぜんぜんに素晴らしい結果なんですけども)。 ・2017京都と近畿のユース大会の話↓ ほんで、今年(2018)のユース大会。 京都ユース (8/20)は< 男子2年800m >で 優勝 、記録の 1分54秒71 も 大会新記録 。彼はこれで、 京都ユース 男子800mの< 1年生の部 >と< 2年生の部 >の両方で 大会記録保持者 になりました。 で、今回の 近畿ユース (9/14)では、先に書いたとおり、< 男子2年800m >を 1分51秒83 で激走し 優勝 、 大会新記録樹立 の快挙も成し遂げ、1年前の雪辱を果たしたのでっす! ◆ 2年間で記録を10秒以上更新 2年前。 はじめてオリンピアサンワーズに来てくれた時、りゅうきくんは中学3年生でした。 当時の彼の800m自己ベスト記録は 2分02秒 。 彼は、その後、たった3ヶ月

【中距離走】彼が駆け抜けた「2400m」と「338秒」の夏。~2018全国インターハイ男子800mの話(その2)。

( 「彼が駆け抜けた「2400m」と「338秒」の夏(その1) 」のつづきです) ◆◆◆ 彼は、大丈夫だろうか? 2018年8月5日。 三重県伊勢市スポーツの杜陸上競技場。 全国インターハイ第4日目。 この日も三重は晴天に恵まれた。 川見店主は午前中の早い時間に競技場に到着した。 宿舎から移動してくるだけで、じっとりと汗が流れた。 熱気と湿気が肌にまとわりつき、息苦しいほどだった。 太陽にさらされるだけで、体力が奪われていく。 川見店主は、知人からもらった携帯用扇風機を顔にかざし、わずかでもいいから涼を求めた。 1週間ほど前。 川見店主が全国インターハイの観戦に行くことを決めると、周囲の人たちは反対した。 天気予報は、この週末の三重県の気温が他のどの地域よりも高くなると予想していた。 「こんな酷暑の中、三重まで行くって正気ですか?」 「競技場で一日中試合観戦なんてしたら、熱中症で倒れますよ」 心配した知人たちから、様々な熱中症対策グッズが川見店主に届いた。 携帯用扇風機は、そのひとつだ。 長時間、外にいたら危険だな。 そう考えた川見店主は、大事をとって、昨日と同じく、ホームストレート前の室内に設置された大会本部に足を運んだ。 ガラス越しに眺めるトラックでは、すでに競技がはじまっている。 審判や役員の人たちの苦労を思う。 この酷暑の中で、連日にわたり大会運営にあたる、その疲労はいかばかりだろう? そして、選手たちは、彼は、大丈夫だろうか? 川見店主は、昨日の男子800m準決勝のレースを思い返した。 彼の走る姿が脳裏に浮かんだ。 初めて出場する全国インターハイ。 さすがの彼も苦戦したことだろう。 よくぞ決勝にまで勝ち進んでこれたなと、あらためて思った。 今日の決勝のレースで、彼はどんな走りをするだろう。 とにかく彼には、今持てる力のすべてを出し尽くしてほしい、悔いのない走りをしてほしいと願った。 ◆ 彼は、まっすぐに前だけを見つめていた。 午後2時。 男子800m決勝。 川見店主は、昼過ぎまで室内の大会本部席で観戦していたが、このレースに合わせてスタンドの客席に移動した。 全国トップクラスの選手の中で彼がどんな走りをするのか、レース全体の展開の中でと

【中距離走】彼が駆け抜けた「2400m」と「338秒」の夏。~2018全国インターハイ男子800mの話(その1)。

彼の姿を見たければ、陸上競技場に足を運べばいい。 そして、男子800mのレースを見ればいい。 400mトラックを2周するこの苛酷な競技で、ひとり、無謀に見えるほどに、スタートからぶっとばす選手がいることだろう。 それが、彼だ。 2018年、夏。 彼が駆け抜けた「 2400m 」と「 338秒 」のドラマを追う。 この物語の主人公「彼」↓ ◆◆◆ 彼は誰よりも速い記録で予選を通過した。 2018年8月4日。 三重県伊勢市スポーツの杜陸上競技場。 全国インターハイ第3日目。 真夏の三重の空は抜けるように青く、日差しは肌を刺すように熱かった。 容赦なく照りつける太陽は、トラックにメラメラと陽炎(かげろう)を立てた。 川見店主は、朝に大阪を出発し、午前中のうちに競技場へ到着していた。 そして、幸運にもトラック間近の大会運営本部で試合を観戦する機会を得た。 その本部席は、ホームストレート前、メインスタンド真下の室内に設置され、ガラス越しにトラックを一望できた。 目の前を走り過ぎる選手たちの息遣いさえも聞こえてくるようだった。 時刻は迫っている。 男子800m予選。 もうすぐ、彼の走る姿を見ることができるだろう。 彼は今日も、スタートからぶっとばすのだろうか? 全国インターハイを迎えるにあたり、彼の800mの自己ベスト記録「 1分51秒61 」は、全国ランキングで5位の成績だった。 その実力からすれば、予選通過は「当然」だった。 とはいえ、このような大きな舞台では、何が起こるかわからない。 川見店主は、少しだけ落ち着かない気持ちでトラックを見つめていた。 ◇ 【午後12時45分】 男子800m予選は、8名×8組の64名で競われた。 彼が登場したのは、第8組のレース。 彼は、スタートから積極的にとばし、先頭でレースを引っ張った。 いつもの彼らしい走りだった。 トラックを2周し、そのまま1位でフィニッシュ。 難なく準決勝進出を決めた。 しかも、記録の1分52秒16は、予選8組の全選手の中でも堂々の1位だった。 川見店主は、彼の走りを見届けると、ホッと息をついた。 そして、彼にとっては次の準決勝が一番の勝負になるだろうと思った。 2018全国インタ

【陸上競技】大阪陸上競技選手権大会(2018)を観戦した話。

◆ 記録的な大雨が日本各地に降り続きました。 甚大な被害を受けた地域の皆様には、慎んでお見舞い申し上げます。 ◆ 7月6~8日の3日間、ヤンマースタジアム長居にて、 大阪陸上競技選手権大会 が開催されました。 川見店主が観戦したのは、最終日(7/8)の日曜日。 大会初日と2日目は雨天での決行となりましたが、この最終日は、午前中の曇り空から午後には徐々に晴れ間が広がり、天候に恵まれました。 今大会に「招待」された川見店主には、来賓用の観覧席が用意されていました。 観客席メインスタンド最前列のさらに下方、大会運営室前の通路に椅子と机が特別に設置され、目の前に広がるトラックをかぶりつきで観戦できます。 こんな視界に↓ プログラムを確認しながら、競技を堪能できました。最高! 川見店主が「招待」を受けたのは、大会にオリンピアサンワーズの広告を協力したからです。 大会プログラムに掲載された広告↓ 記念品にいただいた「OSAKA夢プロジェクト」のラペルピンとボールペン いや、プログラムへの広告はずっと毎年協力してるんです。 けれども、今大会の広告は、さらにさらに! なんと、競技場の 大型ビジョン にも、試合中にオリンピアサンワーズの広告が どっかーん! と映し出されるんです! これ、 大会初の試み だそうですよ! さぁ、みなさん、大型ビジョンにご注目くださいよ。 広告、いよいよ映りますよ。 どっかーーーん ときますよ! 期待してくださいよ。 いよいよ秒読み開始です。 いきますよーーー! 3、2、1、 せーの、 広告どっかーーーん! 右端が当店の広告。周囲がテレビを写真に写した時みたいにグシャグシャってなってますけど、現場ではちゃんと映ってます。 ど、どっ、どっか、…………あ、あれ? 思ってたのと、ちょっとちがう。 いやね、もっとビジョンの全面に どっかーーん! と映ると思ってたんですよ。 ま、大会初の試みなので、次回に期待です。 せっかく作った広告原稿を載っけておきます。みてみて! 映ってたのは、これだよ! ◆ さて、特別席での観戦は 迫力 がちがいます。 選手たちの 息遣い が聞こえてきます。 生身の筋肉の 躍動

【陸上競技】山縣亮太選手の10秒00。~第65回全日本実業団陸上選手権、男子100m決勝を見た話。

2017年9月24日。全日本実業団選手権。写真は男子110mH決勝。 彼の走りは空気を変えた 2017年9月24日(日)。 ヤンマースタジアム長居。 第65回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会、最終日。 メインスタンドの観客席は、午前中からすでに混んできた。 川見店主とボクが陣取ったのは、フィニッシュライン前7列目のシート。 直線100mを理想的な角度で一望できる。 川見店主: 「思ってたよりもお客さんが多いね。最近の陸上競技界は、注目されてるんだろうね」 場内には、どこかリラックスした空気が漂っている。 社会人の大会ならではの、余裕を感じる。 プログラムを見ると、「ちびっこ陸上教室」「豪華景品お楽しみ抽選会」「注目選手のサイン会」などのイベントが案内されていた。 川見店主: 「観客が楽しめるように、いろんな趣向が凝らされているね。こういう大会が、陸上競技の裾野を広げる良い機会になればいいね」 しかし、競技がはじまると、さすがに真剣勝負の緊張感があった。 一流選手たちの圧倒的なパフォーマンスと迫力に、観客は興奮し感動を覚えた。 中でも、場内の空気を劇的に変えたのは、Y選手だった。 13時10分。 男子100m準決勝に、Y選手は登場した。 川見店主: 「Y選手は、全力で走れるのかな?」 川見店主は、彼の故障を心配していた。 何かのニュースで、不調を聞いていた。 しかし、この日の彼は、惚(ほ)れぼれするような走りを見せた。 スタートから一貫して、寸分の乱れもない完璧なフォームで100mを疾走した。 圧倒的なレース展開、1位でフィニッシュ。 記録は10秒20。 スタンドからは大きな拍手が送られた。 川見店主: 「調子がよさそうでよかったね。あれだけのトップ選手たちの中でも、Y選手の速さは、次元がひとつ違うよね。すごいな」 スタンドに設置された巨大なビジョンに、レースがプレイバックされる。 スローで映しだされたY選手の走りを見ながら、川見店主は、3か月前を思い出していた。 ◆ そこに、彼はいなかった ――3か月前。 川見店主は、この同じ場所で、Y選手が走るのを見ている。 2017年6月24日、日本選手権。 大激戦となった男子100m決勝のレース。 優勝し

【三段跳】彼女はみんなの顔を思い浮かべて思いっ切り跳んだ。~2017年全国インターハイ女子三段跳びの話(その2)

( その1「決戦前日、川見店主は彼女のインソールを補修した」 のつづきです ) 8/2 10:15 全国インターハイ女子三段跳び予選 2017年8月2日。晴れ。 NDソフトスタジアム山形。 全国インターハイ陸上競技大会最終日。 川見店主はスタンドのほぼ最前列にいた。 視線はあるひとりの女の子を追っている。 助走路の遠くにその姿はあった。 彼女は両手を腰に当て、膝を交互に動かしリズムをとり、30mほど先の砂のピットを見つめている。 女子三段跳び予選は午前10時過ぎからはじまっていた。 出場選手は44名。 試技は3回行われ、予選通過標準記録12m15cmを跳べば自動的に決勝進出が決まる。 「12m15cm」――それは、彼女が2か月前に1度だけ出した自己ベスト記録と同じ距離だった。 2か月前に12m15cm跳んだ話↓ すでに彼女は試技1回目を12m10cm、2回目を11m93cmで終えていた。 決勝進出にはあと5cm記録を伸ばし、自己タイ記録で跳ぶ必要があった。 3回目、最後の試技に彼女は挑む。 彼女の夏が終わるのか、つづくのか。 すべてはこの跳躍にかかっていた。 川見店主は心臓が止まりそうだった。 助走路の彼女が手を挙げて大きく叫んだ。 「いきまーーす!」 一瞬カラダをためて、踏み出した。 徐々に加速し、トップスピードに乗った。 踏み切り板に足を叩きつけ、前方へ勢いよく弾け跳ぶ。 ホップ、ステップ、ジャンプ。 川見店主は思わず身を乗り出していた。 記録 12m31cm 。 彼女は自己ベスト記録を16cmも更新し、決勝進出を決めた。 川見店主はホッとため息をついた。 鼓動が高まっているのを聞いた。 こんな試合の観戦はカラダに悪いなと苦笑いしたくなった。 ほんとに、と川見店主は思う。 「三段跳びって、どうなるかわからない競技だな」 三段跳び予選。彼女の跳躍を撮った一枚。(撮影・川見店主) ◆ 彼女はどんな気持ちで跳んでいたのか 川見店主をはじめスタンドで応援する人たちは、彼女が跳ぶたびにドキドキハラハラしては寿命を縮めていた。では、当のご本人はどんな気持ちで試合にのぞんでいたのか? 彼女は、楽しくてならなかった。

【三段跳】決戦前日、川見店主は彼女のインソールを補修した。~2017年全国インターハイ女子三段跳びの話。(その1)

熊本の少女が全国インターハイに出場するまでの8年間と「30日の奇跡」の話を以前ブログでご紹介しました。 この物語にはつづきがあります。 舞台は熊本から山形へ。 彼女と川見店主と陸上競技を愛する人たちとの、熱い夏の2日間を追います。 ***** 8/1 決戦の前日 【川見店主は彼女のインソールを補修する】 2017年8月1日。 NDソフトスタジアム山形。 全国インターハイ陸上競技大会第4日目。 この日、川見店主は朝からスタンドで試合を観戦していたが、昼前に一度席を外した。 陸上競技場を出る。 周辺には各スポーツメーカーのブースが並んでいる。 川見店主は陸上競技専門メーカーN社のブースに立ち寄り、気心知れた社員さんたちに挨拶した。 「こんにちは」 「あ、川見さん、おつかれさまです」 「ちょっとの時間だけ、ここのスペースをお借りしますね」 「どうぞどうぞ。昨日話しておられた女子の三段跳びの選手が来るんでしたよね」 「そうです。明日の試合に備えてインソールの補修をしてあげることになってて」 「へー、そこまでしてあげるんですね」 彼女とは事前に連絡をとり合い、決戦の前にインソールの補修を行う約束をしていた。必要な用具や材料は大阪から持参した。専用のハサミは飛行機内に持ち込めないため、宿泊先のホテルに宅急便で送っておいた。 彼女が姿を現す。日焼けした精悍な顔。 川見店主が聞いた。 「調子はどう?」 「はい、いいです」 彼女からスパイクシューズを受けとり、中からインソールを抜きだした。フィッティングしてから3か月が経過したインソールには、すでに彼女の重心の跡がクッキリと残っている。 持参した表面材をハサミで切り、インソールの傷んだ場所に貼りあてて補修した。アーチ(土踏まず)部分にも貼りあて、助走のスピードが乗りやすいように、跳躍のパワーがより地面に伝わるようにと、ひと工夫を凝らした。 インソールをシューズに装着して彼女にわたす。 「インソールに少し調整を加えてみたよ」 彼女はシューズに足を入れた。 笑顔でこたえた。 「すごくいい感じです」 ◆ 【たぶっちゃんは彼女の筋肉をケアする】 シューズはこれで大丈夫だろう。 カラダのコンディションは

【陸上競技】川見店主、山形県に全国インターハイを見に行く。

NDソフトスタジアム山形にて2017年の全国インターハイが開催(撮影・川見店主) 川見店主、山形へ 2017年の 全国インターハイ は、ただいま南東北の各県で行われています。 陸上競技大会は7/29~8/3の5日間にわたり山形県のNDソフトスタジアム山形を舞台に開催されました。 川見店主は、7/31~8/3の3日間観戦してきました。 オリンピアサンワーズ川見店主 ***** ――川見店主、おかえりなさい。 川見店主: 「 あー、楽しかった 」 ――おみやげありますか? 川見店主: 「買ってきたけど 家に忘れてきた 」 ――聞くんじゃなかったです。 川見店主: 「ちゃんと明日持ってくるから」(←次の日も忘れました) ――昨年、川見店主は全国インターハイを岡山県まで車でぶっ飛ばして見に行きましたよね。 その時の話↓ 川見店主: 「今年は 山形県 ですから、さすがに飛行機と電車で行きました」 ――川見店主は普段の生活で車以外ほとんど乗らないでしょう?慣れない乗り物での旅行、ちゃんと山形にたどり着いたんですか? 川見店主: 「もうね、飛行機も電車も新鮮で!いっぱい発見がありましたよ!ほらほら、この写真見て!」 ――これは? 川見店主: 「競技場へ向かう時の電車。単線なんです。乗ろうと思っても、 扉が開かない わけ。あれー?って待ってたら、ほら、ここんとこに ボタンついてて 」 左が車両の外側、右が内側。(撮影・川見店主) ――大阪ではちょっと見ない感じです。 川見店主: 「電車に乗る時はボタンを自分で押して開ける、乗ったら自分で押して閉めるっていう」 ――へー、自分で開け閉めするんですね。 川見店主: 「人が乗り降りしない時は閉まったままだから、冷暖房の節電になるよね。すばらしい!」 ――これ、はじめて遭遇したらわからないでしょ? 川見店主: 「うん、ドキドキした。扉開いた時はうれしかった(笑)」 ――次の写真はなんですか? 川見店主: 「これは途中の駅を車内から撮りました」 おもしろ山って。(撮影・川見店主) ――これは看板ですか?「 面白山高原駅 標高440メートル 」って書いてます。 川見店主: 「そうそう」

【短距離】100mで9秒台を狙うとおにぎりが売れる説。~第101回日本陸上選手権大会、男子100m決勝を見た話。

おにぎりが消えた日。 2017年6月24日土曜日。 ヤンマースタジアム長居。 第101回日本陸上競技選手権大会、2日目。 この日の夜に行われる男子100m決勝は、世間の注目を大きく集めていた。 出場する8名の選手のうち5名が、10秒0台の自己ベスト記録を持っている。 このレースで、今夏に開催されるロンドン世界陸上選手権の男子100m代表3名が選出される。 激戦は必至だった。 そして、なによりも、日本人初の「9秒台」が期待されていた。 午後6時。 JR阪和線の長居駅を降りる。 多くの人たちがスタジアムに向かって歩いていた。 仕事帰りで少々お腹が減っている。 何か食料を買っていくことにする。 途中にある惣菜屋さんに入った。 大きなおにぎりが3つ並んでいるのが目に入る。 今夜、一緒に試合を観戦するのは、川見店主とOさんと自分の3人。 よかった、みんなの分も買っていける。 その「最後の」3つのおにぎりをトレーに乗せた。 ちょっとしたおかずをと焼き鳥を選んでいると、新しいお客さんが入ってきた。 その若い女性が思わず大きな声を出した。 「あ、おにぎり全然ない!」 店のおばちゃんが申し訳なさそうに言った。 「ごめんなさい。売切れちゃって。でも、待ってくれたらもうすぐできますよ。」 「そうなんだ。じゃあ待たせてもらうね。」 買い占めた3つのおにぎりを見つめて、少々バツが悪い感じがした。が、まぁ仕方がない。 レジで会計をしながら聞いてみる。 「おにぎり、もうすぐできるの?」 「はい、すぐできますよ。」 「あと3つほしいんですけど。」 「ちょっと待ってね。」 おばちゃんはせかせかと奥の厨房に入っていった。 そして、3つのおにぎりを手にレジに戻って来て、言った。 「今日、陸上競技やってるでしょう。たくさん人が来てね、調理が追いつかないのよ。」 ***** 今夜、何かが起こる。 スタジアム周辺には人があふれていた。 当日券の販売窓口には長蛇の列。 スポーツメーカーのブースも立ち並び、雰囲気を盛り上げている。 今夜、何かが起こる。 そんな期待が、そこにいるすべての人たちから伝わってくる。 競技場のスタンドに入る。 客席はほとんど埋まり熱気に満ちていた。 トラックで

【陸上競技】晴れわたる空の下で走るキミたちを見ていた。~大阪インターハイ(2017)を観戦した話。

5/26~5/28の3日間、大阪インターハイ(第70回大阪高校陸上競技対校選手権大会)がヤンマーフィールド長居で開催されました。 で、最終日の5/28(日)は川見店主と観戦に行ってきました。 ***** 男子100m決勝の話 この日は天候に恵まれた。 空は晴れ渡り、時折に吹く風は優しい。 午前10時30分頃。 トラックでは、男女の100m予選と800m準決勝が終わり、ひきつづいて男子5000m競歩決勝のレースが行われていた。 川見店主はスタンドの客席に座り、トラックに熱い視線を注いでいた。 しかし、おもむろに立ち上がると、スタンド裏の通路に移動し、スマホに耳を傾け、何やら話しこみはじめた。 電話の相手は、この広い競技場のどこかにいるD高校のT先生だった。 T先生: 「3年生のI選手が男子100m予選を自己ベスト10秒77で通過しました。この調子でいけば、近畿大会に進出できそうです。」 川見店主: 「見てました!すごいですね!がんばってほしいですね!」 I選手は、前日にも、男子200m予選・準決勝・決勝と3つのレースを突破し、近畿大会進出を決めていた。T先生はI選手に男子100mでも近畿大会に進んでほしかった。しかし、I選手の疲労はピークに達していた。 川見店主: 「I選手は疲れてるでしょう?準決勝までに、しっかり筋肉をほぐしておいた方がいいと思いますよ。なにか私にできることないですか?」 T先生: 「ありがとうございます。でも、準決勝まで時間がありません。」 川見店主: 「I選手と合流できますか?いい人を紹介しますから。」 高校最後のシーズンを走るI選手に最高の結果を残してあげたい。T先生と川見店主の思いは同じだった。 川見店主はふたたびスマホに耳を傾け、やはりこの陸上競技場のどこかに来ているはずの「たぶっちゃん」に連絡を取る。「たぶっちゃん」は、現役時代には関東の某強豪大学で箱根駅伝出場を目指す長距離選手だった。今はボディケア用品・クリオ販売の社員として当店を担当してくれている。 川見店主: 「こういう選手がいるのよ。大事な準決勝だからね、なんとかしてあげられないかな。」 たぶっちゃん: 「わかりました。そちらに行きます。」 T先生、I選手、たぶっちゃん、そして川